湘ゼミコラム

横浜翠嵐

横浜翠嵐高校 取材/日々のあたり前を磨くことで成長を促す、県下トップ校に潜入!

2020.09.14

横浜翠嵐高校のモットー
「普通のことを普通にしよう!」

神奈川県立横浜翠嵐高校(以下、横浜翠嵐高校)は、男子のみの旧制中学校として大正3年(1914年)に県立第二横浜中学校として開校後、昭和25年(1950年)に男女共学の「県立横浜翠嵐高校」に改称した歴史ある高校です。

開校以来、自由な校風とともに生徒の個性を尊重しながら行われる学習指導や進路指導、また、大学受験対策への緻密な取り組みが高い評価を受けています。
平成29年(2017年)に神奈川県の学力向上進学重点校(アドバンス校)に指定されてからは、ますますその存在感を高めています。

近年では生徒さんの活躍が多くのメディアで取り上げられるなど、全国からの注目も熱い横浜翠嵐高校を取材した記事をお届けします。

今回は磯貝 靖子 副校長と青木 健 総括教諭の両先生にお話を伺いました。

写真:左から青木 健総括教諭、磯貝 靖子副校長

「内に秘めたもの」に火をつける指導により、
高いレベルで「普通に」取り組める力を育む

横浜翠嵐高校にはどんな生徒さんが集まってきていますか?

青木先生:
中学生活で入学までに育まれてきている力を背景として、知的好奇心や探求心をもつ生徒が多く集まっています。また、物事を多角的にみておこうという気持ちが強い生徒も多くいます。勉強も部活も生徒同士で競い合おうという気持ちが強く、自分から求めて得てきた知識を、本校において更に広げようとしていると思います。

しかし、まだ高校生ですから、探求力・論理力いずれにおいても基礎的な段階といえるので、そのあたりを伸ばせるよう指導しています。

写真:青木先生のインタビュー(一言一言を大切にお話される印象です。)

生徒さん達の印象について先生はどのように感じますか?

青木先生:
とても真面目だと思います。半面、遠慮しがち、謙遜しがちなところもあります。
「失敗すると恥ずかしい」という気持ちが強いのかもしれませんが、行動力や発信力、積極性がまだまだだと感じるシーンがあります。ときには「もっとやりなよ!シャイになっている場合じゃないよ!」と思うこともありますね…。(笑)

これからの時代、失敗を恐れずにチャレンジする力は必要になってきます。本校で育んだ力が、高校3年間だけで終了するのではなく、大学そして社会での活躍へとつなげられるように、先を見据えた人間力を育みたいと思っています。そのためにも、生徒一人ひとりの「内に秘めたもの」を自信を持って表に出せるように支えられたらと考えています。

日々の授業では、どのような取り組みを実施していますか?

青木先生:
特に、自らの力で物事を考えることに重点をおいています。
例えば本校の科目に「グローバル探究」という授業があります。これはグループワークを中心とした授業で、グループごとに研究するテーマを決め、各自が自分の役割をもって調査・研究していくというプログラムです。

生徒たちはその取り組みの中で、チーム内のメンバーや周りのチームとの考え方や意見の違いを見つけながら、そこに自分の意見を織り交ぜて一つの研究成果を作り上げていきます。

この授業に限らず、生徒たちの意欲や好奇心に火をつけられるような授業を常に行うことが大切だと考えております。教科の授業でも同じです。そして、学力向上進学重点校として質の高い教育を提供するために、常に授業内容の振り返りや改善を行っています。教師間の授業評価はもちろんのこと、年に数回、生徒による授業評価も行って反映しています。

授業の様子

オールイングリッシュの「コミュニケーション英語授業」を見学させていただきました。
授業内ではスピード感を重視されており、発問→生徒の考える時間→発言→解説の時間を区切り、独特な授業のリズムを作り上げていました。生徒同士の議論も活発に行われており、高い参加意識が伺える、まさに「心に火をつける」授業です。

夏休みなど長期休暇期間に行われる特別講習では、どのようなことを実施しますか?

青木先生:
特別講習では生徒の学力の補完や強化を目的に、集中して学習が行える環境を用意しています。時期によって学年ごとの実施内容は異なりますが、夏期講習を例にあげますと主に次のようなテーマで行っています。

●1年生:基礎的な事項を補い発展につなげる内容
●2年生:大学入学共通テストレベルの学力の育成
●3年生:二次試験対策

青木先生:
講習の参加は任意ですが、多くの生徒が参加しています。テキストも特別なものではなく、大学入試問題など、誰もが手に入れられるごく一般的なものを利用し、とにかく”最後までやりきる”ことを大切にしています。
夏期講習やその他の時期に行う特別講習、また土曜講習や通常の授業と組み合わせることで高校3年生の途中までにはすべての学習内容を終了するようにカリキュラムを組んでいます。

講習以外に、大学入試対策などで特別に実施されているものはありますか?

青木先生:
国公立大学の2次試験に向けた対策などを実施しています。生徒たちが職員室に続々と質問にやってくるので、そこで教員は指導時間を増やして過去問添削を行っています。
ほかにも、東大や一橋、東工大といった難関大学向けの試験対策講習なども実施していきます。また、模擬試験も取り入れて、目標に向けて自分の弱点を知るとともに目標校に対する各自の位置の確認なども行っています。また、2年次では「第一志望校宣言」を掲げさせ、最後までその目標に向けて取り組むよう指導しています。

勉強だけではなく、部活動にも大変熱心に取り組まれていると伺いましたがどのような活動をされていますか?

青木先生:
本校の部活動は、16の運動部と18の文化部、その他に6つの同好会があり、週休2日制の原則を守ることで、勉強との両立をはかりながら活動をしています。運動部ではサッカー部が人気で、文化部では全国的にも有名なクイズ研究部、科学の甲子園や生物オリンピックなどの全国大会で活躍する科学部や生物部など、アカデミックな部活も充実しています。兼部もよく見られるくらい生徒たちは部活動には熱心です。
本校では、部活動は生徒主体の活動として、生徒自らが「部活動の意義」を考える取り組みを行っています。

※青木先生がお話された「部活動の意義」は こちら からご覧いただけます。

この取り組みの目的はどのようなところにありますか?

青木先生:
本校では「基準を持つ」という考え方を大切にしています。目に見える形で「こういうことをしよう・させよう」という基準を示すこともあれば、生徒たちにその基準自体を作ってもらうこともあります。加えて生徒たちには、先々において「このほうがうまくいく」、「先に進みやすい」、「みんなと協力できる」、「力が発揮できる」といった基準を明確にしていきながら共に成長していこうと伝えてきました。
こうした考え方が浸透していったことで、トップ校と呼ばれる現在に至っているのだと思います。

県下トップ高校に通われる生徒さんが日頃から意識されている行動理念はどのようなものでしょうか?

青木先生:
“普通のことを普通にしよう。”
 です。
突出して自分だけが何かをするのではなく横浜翠嵐高校の一員として学習、クラス活動、部活、または日々の掃除までも日常の当たり前の行動として行う。つとめて普通にこなしていこうと伝えています。
物事へのごく当たり前の取り組みを「普通」に行いながらも、その「普通」を極めて高いレベルにしていくのが本校です。

生徒たちには誰もが”普通である”ということを常に意識してほしいと伝えており、それは本校の理念である「大平凡主義」にも通じています。自分のことだけをひけらかすのではなく、自分の力や個性が他のみんなを刺激する、そのような連帯感の中で成長してほしいと考えております。

写真:緑あふれる中庭から校舎を臨む

写真:生徒さんの利用も多い図書室。(※本格的な哲学書のリクエストなどもあるそうです。)

写真:図書室に並ぶ書籍(※卒業生の水谷 修さんの著書もありました。)

逆転の発想で難関大学に合格。
5教科受験のメリットとは?

神奈川県下最難関の高校として、年によっては入試倍率が2倍以上にもなる県内トップの競争率の横浜翠嵐高校。その人気の理由の1つに、高い大学進学実績があります。

令和2年度(2020年度)大学入試では、横浜翠嵐高校から東大26名、京大11名といった難関国公立大学や、早稲田 128名、慶応 105名などの難関私立大学へも多くの合格者を輩出しています。(※ 現役生・既卒生含んだ合格者数)

2020年度の進路傾向はいかがでしょうか?

青木先生:
2021年度(令和3年度)より大学入学共通テストが導入されるということで、全国的にはやや安全志向になりました。逆に中堅私立は倍率が上がり、合格が難しくなったと感じています。

本校では教員が生徒の進路選択についても、しっかりと生徒に向き合った指導を行っています。進路選択の際には”力がある生徒”でも、つい楽な方向に向きがちです。将来に向けた大切な選択で、そのような安易な判断を行わないよう生徒との面談などを年に4~5回実施しています。さらには、学年ごとの進路集会や保護者の方に向けた発信を積極的に行っています。

実は、一般的な事例として早慶などの難関私立に合格している生徒のほとんどが国公立と併願していたりします。ですので、生徒たちには早慶に合格しているうち7割は東大など国公立難関大も受験していることを必ず伝えるようにしています。

私大受験に絞った科目(2~3科目)での受験対策に限定してしまうと、私学は今年度(2020年度)のように志望者が殺到した年度は倍率が高くなり、合格の難易度が上がります。5教科入試を前提とした受験準備のほうが結果、受験校の選択肢も広がり、生徒たちにとっても圧倒的に有利になると考えています。

5教科対策に足踏みをする生徒であっても具体的な数字を示せば、かならず動いてくれます。5教科7科目・8科目で受験できる力をもってもらうことを念頭において指導をしています。それは受験のみならず、高校生としての教養を身につけることにつながっています。

大学合格実績のここに注目!

横浜翠嵐高校の過去3年間の大学合格実績(現役生)では、高3生全体の4割以上が国公立大学に合格しています。

(過去3年間の高3在籍者数に対する国公立大学の合格者総数と比率:現役生のみ)

2018年度 350名中/148名が合格 (42.2%)

2019年度 355名中/143名が合格 (40.2%)

2020年度 351名中/154名が合格 (43.8%)

(過去3年間の私立大学の合格者のべ総数:現役生のみ)

2018年度 579名

2019年度 601名

2020年度 628名 

私立大学においても年々合格者数が上昇しています。

5教科入試対策を行うことで国公立・私立問わず全方位で受験に臨むことができる学習や進路指導が正に成果を上げられているのではないでしょうか。

入試当日を「楽しめる」ぐらいの気持ちと学力をもってほしい

学力検査の配点比率の高さや特色検査を早くから活用されている理由を教えてください。

磯貝先生:
基本となる学力はもちろんのこと、特に入試当日でどれだけのポテンシャルを発揮できるかということに本校はとても期待をしており、学力検査の配点を重視しているためです。
また特色検査の共通選択問題についても、探究力や教科横断的な学力を判断するという目的で作問されていますので、それらの知識や素養、出会ったことのない難問にも柔軟に対応できる力も同様に重視しています。

<毎年入試の振り返りを行っておりますが、その配点比率や特色検査での考査を通じて、本校の求めている生徒が入学できていると判断しております。

写真右:磯貝副校長先生(活動的な雰囲気が印象的な方です。)

横浜翠嵐高校を志望する中学生が、意識して身に付けておいたほうがよい力は何でしょうか?

青木先生:
探究力・論理性・分析力・表現力・発想力です。
これが、ヒントになるかわかりませんが、何年か前の入試で「問題を解く時間が “楽しかった”」と話す生徒がいました。試験中ですから、多くの方が”入試問題を楽しむ”というわけにはなかなかいかないはずですが、目の前の試験問題であってもこれまで学んできた自分の学力や好奇心を最大限に表現できるツールに変えられる力を持っているかということではないでしょうか。

その意味でも本校を志望される中学生の方々には、日常生活や中学校での学習を通じていろんなことに興味・関心を持ち、ひとつの事象に対しても多角的な見方ができる、そういう力を本校入学前までにぜひ身につける気持ちで何事にも取り組んでほしいと思っています。

以上、取材より。

横浜翠嵐高校に入学する高校1年生は、入学前からたくさんの課題に取り組みます。
科目によっては、実際の授業開始前までに教科書の半分程度まで読み込んでくることもあるそうです。そして入学後すぐに学習オリエンテーションが実施され、晴れて横浜翠嵐高校の生徒として1人ひとりが高校3年間を通して「より良く・深く学ぶ」ための準備を行っていくといいます。

横浜翠嵐高校を志望する場合、高校で行われる予習型の学習に早くから慣れ、生涯にわたり「自学自習」できる姿勢を身につけることが求められるでしょう。

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小学生、中学生共に共通するコースです。学習習慣、生活習慣を整えながら、継続して学習することの大切さを伝えていきます。また、基礎を固め実践力を高めることで自信が生まれ、それを積み重ねることによりトップ校を狙える力を育みます。

難関高受験コースは、東京学芸大附属・開成・早慶などの難関国私立高校、横浜翠嵐・湘南など難関公立高校へのトップ合格を志望する生徒が集まるコースです。QE授業を最高レベルで体現し、志望校合格だけでなく、子どもたちの可能性を広げる「21世紀型スキル」を養います。