湘ゼミコラム

大学受験・入試

横浜国立大学へ潜入!企業から求められる人材が育つ、大学の魅力とは?

湘南ゼミナールの生徒さんにも志望する方の多い、「横浜国立大学」について取材した記事をお届けします。

大学の魅力はもとより、2021年度(令和3年度)大学入試の変更・注意点や、湘南ゼミナール高等部の生徒さんからの質問にも横浜国立大学入試課よりご回答いただきました。

ぜひ、以下よりご覧ください。

横浜国立大学とは、どんな大学?

神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台の自然溢れるエリアにキャンパスを構える横浜国立大学(YNU)。

1949年に設立され、関東圏の国立大学のなかでも高い知名度と人気を誇ります。

大学では全学部、全大学院、全学年の全てがワンキャンパスに集まり、全学共通科目、地域交流科目などの学部を超えたプログラムも充実しています。

国際性を持ち実践的な生きた学問を尊重していることから、個性あふれる人材が育つ環境にあり、昨今では卒業生に対して企業からのラブコールも鳴りやみません。

それでは横浜国立大学について、以下より詳しく見ていきます。

大学名:横浜国立大学
[ 所在地 ] 〒240-8501 神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79−1
[ 学生数・教員数等データ ]図1

図1:横浜国立大学ホームページより作成

横浜国立大学の学部・学科

教育学部/学校教育課程

小・中・高等学校、特別支援学校、さまざまな教育現場の未来を支える次世代の教員を養成。
※令和3 年( 2021 年) 4 月から学校教員養成課程へ組織改編。

経済学部/経済学科

グローバル化の深化に対応し、経済社会にイノベーションをもたらす人材を養成。

経営学部/経営学科

21 世紀の諸問題に対処する観点から、新しい企業経営を探究する。

理工学部/機械・材料・海洋系学科、化学・生命系学科、数物・電子情報系学科

理工を融合させることで創造性・総合性を駆使した学部教育を実践する。

都市科学部/都市社会共生学科、建築学科、都市基盤学科、環境リスク共生学科

都市科学とは、これからの都市はどうあるべきかという重要なテーマに科学的に取り組む学問。

大学院

教育学研究科
国際社会科学府
理工学府
環境情報学府
都市イノベーション学府
連合学校教育学研究科

※各学部に関する詳細は横浜国立大学公式ホームページにてご覧ください。

横浜国立大学では、上記5つの学部に加えて、学生自らが所属する専攻(課程・学科)以外の分野を系統的に学習する「副専攻プログラム」が設けられています。

所定の修了要件を満たすと修了証が発行され、成績証明書にも副専攻名が記されるといいます。

成績証明書は就職活動時に企業から提出を求められる場合や、資格取得試験で有利になるケースもあり、専攻以外の修了を証明する書類として活用が可能です。

●副専攻プログラム一覧●

【全学部生対象】
・YNU地域交流科目人材育成教育プログラム
・グローバルPlus ONE 副専攻プログラム
・グローバルスタディズ副専攻プログラム
・CAREERS IN JAPAN副専攻プログラム(留学生が対象)

【経済学部】
・Global Business and Economics 教育プログラム

【経営学部】
・ビジネス・プラクティス・プログラム
・Global Business and Economics 教育プログラム

【理工学部】
・理工学部副専攻プログラム

  1. 材料科学副専攻プログラム
  2. 水素エネルギー学副専攻プログラム
  3. 医工学副専攻プログラム
  4. ロボティクスメカトロニクス学副専攻プログラム
  5. 環境・安全学副専攻プログラム

大学ならではの取り組み

「その① 自立英語(必修科目)」
1年生の春学期に自立英語という必修科目があります。この科目は、学生が学校における教育を終了した後も、英語学習を効率よく続けていけるような基礎を築くことを目的とし、外国人留学生たちがティーチング・アシスタント(以下、TA)として授業に参加します。
外国人留学生TAとの交流体験やペアワーク、グループワーク等により実践的なリーディング、リスニング、語彙の英語能力を身に着け、自分自身のレベルに合った英語学習のデザイン力を修得する授業です。

「その② 学年を超えた研究プログラム”ROUTE”」
理工学部では学部1年から大学院生に混じって、研究室で最先端の研究に取り組めるプログラムがあります。早い段階から研究の面白さを知ることで、講義にもより一層興味をもって取り組めることを目的に実施されています。

企業が選ぶ大学イメージランキングで全国2位を獲得するワケ

2020年度 日本経済新聞社と日経HRにより、国内の全上場企業と一部有力未上場企業の人事担当者に、採用した学生から見た大学のイメージ調査が実施されました。
調査によると横浜国立大学は、全国2位(関東・甲信越では1位)と企業から高い評価を受けています。

その理由として挙げられる「行動力」「対人力」「知力・学力」「独創性」という4つの側面でバランスの良い人材が育つ環境について、横浜国立大学へ取材しました。

企業から求められる人材が育つ背景には、どのような要素があると考えられますか?

横浜国立大学入試課:
本学では、課題解決力、交渉力、協調性など広く社会で必要な基礎的・汎用的スキルである「就業力」を発動させる上で欠かせない「主体性」を学生に体感させることを意識したキャリア教育を初年次段階から行っています。
グループディスカッションや課題解決型プロジェクト、現役社会人との対話、体験学習など、多様な手法により主体的な学びを提供しています。
学びの中で、企業や社会人との交流機会を提供していますが、就職先という視点で接するのではなく、社会課題への取り組み姿勢や、社会の仕組みの中で企業が果たす役割などを実践的に学んでもらうことが交流の目的となります。

大学内のイベント等にて使用するメディアホール(附属図書館内)

横浜国立大学入試課:
さらには、建学から掲げている4つの精神「実践性」「先進性」「開放性」「国際性」に基づき、「日本社会が直面する諸課題の解決に国際的視点から貢献するイノベーティブな人材」の養成(ディプロマ・ポリシー)に努めています。
全ての学部・大学院が一つのキャンパスに集約されたワンキャンパスという環境を生かして、文理融合の学びや、全学生の約1割を占める留学生との交流の中で、多様な視点を持ち、豊かな教養を身に付けた人材の育成を行っています。

企業から高い評価を受ける背景にある学びとは、具体的にどんなものがありますか?

横浜国立大学入試課:
全学生が主体的に選択し学べる副専攻プログラムの提供や、企業・教育研究機関との連携講座、地域と交流しながら社会課題に取り組む地域課題実習など実践的に学べる機会の提供があります。

さまざまな進路に進む学生がいると思いますが、大学で育んでもらいたい資質はなんですか?

横浜国立大学入試課:
技術の進化やグローバル化など、変化の激しい時代の中、どの組織においても状況に柔軟に適応しつつ、何が必要か、どうすべきかを自ら考え判断し、主体的に行動できる力を身に付けてもらいたいと考えています。

学部にとらわれず、横浜国立大学を卒業する全学生が得られる成果や活動はありますか?

横浜国立大学入試課:
本学ではキャリア教育の一環として「YNU学生ポートフォリオシステム」を導入しています。卒業時に学士がもつべき資質・能力である到達目標と学習成果の関係を可視化し、「学位」の質保証を図ることを目的としています。

YNU学生ポートフォリオは、全学生が毎学期で入力する仕組みになっています。
学生が自分自身の学士力(学修目標である4つの実践的「知」)や、就業力(社会に出てから必要になるスキル)を自己チェックし、その結果を基に前学期を振り返り、新学期の取り組みを考えます。
学生の皆さんは自分自身の目標や課題を意識し、より有意義な学業や学生生活を構想できます。上級生になると、過去の学士力や就業力のスコアと現在のスコアを比較して、自分の成長を確認できます。これら日々蓄積した学修記録は、就職活動の際、自己PRや面接で話す材料としても活用できます。

大学では進路についてどのようにアドバイスを行っていますか?

横浜国立大学入試課:
進学先や就職先そのものに捉われすぎないよう、この先の長い人生の通過点として、私生活を含めて考え、選択するようにアドバイスしています。
自分の将来を会社任せにするのではなく、自律的にキャリアを形成する意識と行動を持つように伝えています。
また、様々な業種や働き方について具体的な情報やアドバイスが得られるよう、同窓会の協力を得て、社会人経験豊富なOB・OGによる就職相談を通年で実施し、交流イベントを開催しています。

横浜国立大学で学生に人気の施設は?

横浜国立大学は、神奈川県の主要ターミナル駅「横浜駅」からバスで20分ほどのところに、緑に囲まれた広大なキャンパスが現れます。

在学生にも人気だという施設を中心にキャンパス内を見てみましょう!

横国生の憩いの場!「中央広場」

横浜国立大学中央に位置する緑に囲まれた「中央広場」

キャンパスの中央に位置する円形の広場。天気のいい日には、お弁当をひろげたり、ちょっと横になってみたりと、学生達が思い思いのスタイルでくつろいでいます。

図書館の枠を超えた多機能空間!「附属図書館」

附属図書館

中央図書館、理工学系研究図書館および社会科学系研究図書館の3館からなる附属図書館。
なかでも中央図書館には、学生が議論しながら学習できるグループ学習エリアやワーキングスタジオ、充実したコンピュータ環境など、学習や研究活動に適した環境が揃っています。

附属図書館内のカフェにある大きな窓から望む景色

勉強中の学生にとって重宝する軽飲食ができるカフェのほか、イベントホールや研究用の個室も兼ね備えるなど、従来の図書館の枠を超えた多機能さから、在学生に重宝されています。

多国籍なシェアハウス型の学生寮も完備!

学生寮「常盤台インターナショナルレジデンス」

キャンパス内に2019年3月末にオープンした「常盤台インターナショナルレジデンス」は、日本人学生と留学生の共同生活による、多様な文化体験や交流促進を目標とした新しいタイプの学生寮です。

シェアユニットタイプでは、国籍、学年・学部の異なる8名で1つのユニットを形成し、リビングやキッチンを共有するシェアハウス型の住まいです。
ほかにも完全個室型のプライベートタイプもあり、研究者向けの宿泊施設も併設されます。シェアユニット・プライベートタイプともに建物内で男性用・女性用エリアに分かれています。

学生による授業アンケートを教員の評価に反映!大学全体で研究力向上を目指す

都市科学部の教室

横浜国立大学では「ベストティーチャー賞」を設け、毎年各学部・学府で優れた教育を行っている教員を表彰しています。選考は、学生による授業アンケートで評価の高かった教員が選出され、表彰者の教育方法を大学全体に伝え、教育方法の改善に取り組んでいるといいます。

2019年度(令和元年度)のベストティーチャー賞受賞者の1人をご紹介します。

受賞者プロフィール

教育学部/尾島 司郎准教授

慶応義塾大学の特任准教授、東京大学の特任研究員などを経て現職に就かれ、横浜国立大学では「尾島司郎研究室」にて人間の脳が第二言語を学ぶ仕組みを研究。第二言語の学習・教育支援を目指している。

★ゼミ生が明かす素顔★※研究室ホームページより
・教え子をファーストネームで呼ぶ
・学生の誕生日にケーキを買ってくれる
・ビデオを用いた反転授業
・意見だけでなく「どうしてそう考えるのか」という理由まで深堀して聞いてくる
・卒論の直しが愛に満ち溢れている

…など、学生との絶妙な距離感で熱い指導をされることから人気の様子が伺えます。

尾島准教授が大学での講義で使用している動画がYoutubeにて公開されています。大学授業の参考に、ぜひ以下よりご覧ください。
尾島准教授による動画配信リンクはこちら

横浜国立大学で人気の学部「都市科学部」のエントランス

横浜国立大学の研究活動では「実践的学術の国際拠点」として、約600名の研究者が様々な分野で多様な研究を行うほか、海外の140以上の大学と学術交流協定を締結し、例年で海外の大学から約300人の研究者を受け入れているといいます。

個々の研究だけでなく、学内および国内外の他機関の研究者との共同研究を促進し、社会的要請の高い分野、学術的分野、社会的あるいは学術的に高く評価されている分野及び先駆的分野等の研究にも力を入れています。

公式WEBサイトでは、研究ごとに高校生向けの書籍も紹介されています。

※2011年度より研究力向上を目的に設置された「横浜国立大学優秀研究者賞」ページでも評価の高い研究内容をご覧になれます。

横浜国立大学を第一志望とする高校生が大学へ質問!

湘南ゼミナール高等部に通い、横浜国立大学を志望する生徒さんが気になることを大学に質問!

以下よりQ&A形式にて、横浜国立大学入試課 にご回答いただいた内容をご紹介します。

面白い、人気の授業は何ですか?

「全学教育科目」です。
本学は、全学教育科目・学部教育科目でカリキュラムを構成しています。「全学教育科目」は、全学部を横断した授業開講により学問の多様性を幅広く修得させる科目です。他学部教員の授業を受講することができるので新鮮で面白いと思います。

全学部生が【共通】で選択受講できる授業科目として、8ジャンル、279科目もの授業が開講されています。例えば「美術と社会」や「地球と惑星の科学Ⅰ」、「国際イノベーションマネジメント論」など、各学科の教員が多彩なジャンルの学びを提供しています。

全学部生【共通】科目数

●基礎科目
・人文社会系/88科目
・自然科学系/72科目


●グローバル教育科目
・世界事情科目/14科目
・国際交流科目/79科目


●イノベーション教育科目
・入門的基幹知(領域)/2科目
・技術革新思考(領域)/3科目
・社会実装戦略(領域)/14科目
・キャリア形成実践知(領域)/7科目


※上記は抜粋情報となります。科目により【共通】指定されているものでも、所属学部や対象により受講状況が異なります。詳しくは横浜国立大学のホームページにて必ずご確認ください。

どんなキャンパスライフが待っていますか?

行事やサークル、他学部生との交流など多くの楽しみがあります。
大学では、学修計画(履修時間割表)を学生自身で作成し、自主的に行動することが増えます。行事としては、大学祭(5月清陵祭、11月常盤祭)は2回あり、キャンパスが1つなので、全学に開講している授業やサークル活動などを通じて、他学部生とも交流があります。また、学生生活を送る中で不安なことがあれば気軽に相談できる体制が整っています。
2020年8月現在、授業は主としてオンライン授業で実施しております。課外活動も制限されているところです。

人気の学食はありますか?

学食、カフェ、移動販売車などその日の気分で選べる点が人気です。
学食は3カ所、そのほかに図書館にはカフェがあり、お昼の時間には移動販売車が並びます。また、理工学部の講義棟の中で、地元のお店のお弁当販売があります。
その日の気分でお気に入りを見つけてください。

どんなサークルがありますか?

43の体育系サークルと57の文化系サークルがあります。(2020年8月現在)
サークル名は公式WEBサイト(https://www.ynu.ac.jp/campus/club/activity.html)でご覧いただけます。
また、届出団体となるための要件を満たせば、自らがサークルを立ち上げることも可能です。

なぜ新たに経営学部で2次試験を実施することにしたのですか?

令和3年度(2021年度)入試は個別学力検査を実施せず、大学入学共通テストの成績により合格者を決定します。個別学力検査前期日程の数学又は外国語の成績は、大学入学共通テストの数学又は外国語の成績で代替します。
経営学部一般選抜前期日程は、大学入学者選抜実施要項の見直しに伴い、令和3年度(2021年度)入試から個別学力検査(数学又は外国語)を実施する予定としていましたが、 新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない中、入学志願者の安全と受験機会の確保を最優先するため変更いたしました。

航空宇宙工学分野を学びたい場合、理工学部機械・材料・海洋系学科にある3つのプログラム(機械工学教育・材料工学教育・海洋空間のシステムデザイン)のうち、どのプログラムがおすすめですか。

航空宇宙工学分野は、機械の構造などから見るか、材料・材質の研究から見るか、大気圏・宇宙空間という視点から見るか、によって教育プログラムが異なります。
機械工学と海洋空間のシステムデザインが皆さんのイメージする航空宇宙工学に近いかもしれません。

理工学部卒業生の就職状況を詳しく知りたいです。

理工学部は、75%前後の学生が大学院(博士課程前期)に進学します。
学部で卒業研究を行いますが、更に2年研究を深めてから世の中に出ていくことになります。理工学部と大学院(博士課程前期)(https://www.ynu.ac.jp/career/support/data/)の就職先を参考にしてください。

2021年度(令和3年度)入試の変更点や入試制度について

大学入学共通テストの導入を受けて、横浜国立大学入試課へ取材し、各学部の入試制度の変更点ついて伺いました。
さらには高校生のうちから留意したい点についても、入試課のコメントをご紹介します。

2021年度(令和3年度)入試は、新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見通せない中、入学志願者の安全と受験機会の確保を最優先するため、選抜方法の変更が発表されています。

一般選抜については、個別学力検査を実施せず(教育学部は除く*)、大学入学共通テストの得点を調整して選抜します。教育学部については、大学入学共通テストに加え小論文等の提出物による選抜を行います。
また、全学部で英語資格・検定試験の活用が見送りとなりました。

*[ 教育学部 ]一般選抜の要項

大学入学共通テスト:変更なし
個別学力検査等:面接試験と小論文試験に相当する内容の動画やレポート等の提出、または面接試験と選択した専門領域の実技検査に相当する内容の写真や動画等の提出。

※選抜方法や配点等の詳細については、「令和3年度(2021年度)入学者選抜要項」にて詳細にご覧ください。

横浜国立大学入学者選抜の変更点については随時こちらで発表されます。

大学入学共通テストの導入を受けて、入学を希望する高校生にどんな姿勢を望みますか?

横浜国立大学入試課:
一般選抜は令和3年度(2021年度)から、出願時に自己推薦書の提出を必要とします

志望学部・学科等のアドミッション・ポリシーを踏まえた大学入学後の目標と、その目標を達成するために努力したいことなど、学びに対する姿勢と学習意欲を確認します。
志望学部・学科等ごとに、特色・求める学生像(アドミッション・ポリシー)・学びのシステム(カリキュラム・ポリシー)・育成する人材像(ディプロマ・ポリシー)が異なりますので、大学案内や本学ウェブサイト等で確認いただき、希望の学科等を選択してください。

入試問題の各科目に関して、高校生が日常の学習で留意すべきことは何でしょうか?

横浜国立大学入試課:
一般選抜は令和3年度(2021年度)から、出願時に自己推薦書の提出を必要とします

過去問を解き、受験する入試の各科目の配点を確認して自分に更に必要な知識を確認することは重要です。受験の為だけではなく、志望学部・学科等のアドミッション・ポリシーを踏まえた大学入学後の目標に向かって勉強するとより良いと思います。

以上、取材より。