湘ゼミコラム

大学受験・入試

自分に合う大学入試方式は?/知っておきたい「総合型選抜(旧AO)」「学校推薦型選抜(旧推薦)」の特徴と準備

大学入試方式には、大きく分けて次の3種類があります。

①一般選抜
・大学入試センターが実施する「大学入学共通テスト」(旧センター試験)
・各大学が実施する2次試験(個別学力検査)

②総合型選抜(旧AO入試)

③学校推薦型選抜(旧推薦入試)
・指定校推薦
・公募推薦

まずは、大学入試改革により実施されるようになった「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)について見ていきます。


共通テスト利用方式は、複数の大学、学部・学科に出願できる(個別試験がある場合を除きます)ため、多くの受験生が利用しています。

2023年度入試で「共通テスト」を導入する大学は、国立大学で 82校、公立大学で 94校、私立大学で 537校と年々増加しています。

(※2022年12月現在、大学入試センター発表情報より)

共通テストは全部で6教科30科目あり、受験する大学が指定する科目を選択します。
※2025年度(令和7年度)の共通テストからは出題科目が見直され、国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、情報の7教科20科目に変更されます。(2022年度 現在の高1生対象)

国公立大学を受験する場合は、5教科7科目が基本とされていましたが、
2024年度(令和6年度)の共通テスト(2022年度 現在の高2生対象)」より「情報」を加えた6教科8科目を課すことが原則と発表されました。
1月中旬に実施される「共通テスト」の得点と、各大学が実施する「2次試験(個別学力検査)」の得点合計で合否判定するケースが一般的です。

※2次試験は「前期日程」と「後期日程」でそれぞれ1校ずつ出願できます。一部の公立大学では「中期日程」を設定する大学もあるため、国公立大学は最大3校の受験が可能です。

私立大学を共通テスト利用方式で受験する場合は、1〜3教科(1〜6科目)程度の成績で合否判定される学部・学科もあるため、共通テスト受験で複数の私立大学に出願することが可能です。
しかし、早稲田大学 法学部の例では、共通テスト利用方式で5教科6科目を課すケースもあるため、志望校の情報を早めに確認することが大切です。

共通テストの平均点が大幅低下・・・
出題形式の変化に応じた対策の重要性

2022年度(令和4年度)に実施された共通テストでは、前年度と比較して6教科18科目で平均点の低下が見られました。

早稲田大学の政経学部(文系)入試で数学ⅠAが必須化されるなど、文系・理系の枠組みを超えた文理融合の流れも進む中、共通テスト全体の数学Ⅰ、数学A、数学Ⅱ、数学Bの平均点低下は著しく、「数学ショック」とも呼ばれるほどの結果となりました。

平均点低下の背景は、共通テスト実施以降、長文問題が目立つようになり、問題への理解度が低下したことが要因の一つと見られています。

長文問題は、読解力に加えて教科横断的な応用力も求められるため、新入試に向けて適切な対策を講じたかが大きな分かれ道となったのではないでしょうか。

大学入試改革に続き、中学・高校での学習指導要領改定に伴い、知識・技能を活用する思考力・判断力・表現力を問う問題は、中学や高校のテストでも増加傾向にあります。

さらに、2025年度(令和7年度)の共通テストから、知識・技能を活用する思考力・判断力・表現力を問うことを強化した作問となることが、大学入試センターからも発表されています。(2022年11月時点 大学入試センターの発表資料より)※2022年現在の高1生が対象

こうした入試制度の変化に対する不安や、早期から入学者を確保したいという大学側の狙いもあり、「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」を活用した大学数・入学志願者数の増加傾向は続いています。

国立大7割超、私立大9割が導入
大学数・入学者数ともに増加する「総合型選抜」

「総合型選抜」とは?

総合型選抜は、大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)に合う生徒を採用するための入試で、生徒自らの意思で出願できる公募制です。

詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力・適正や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法とされています。

2020年度までは「AO入試」(アドミッションズ・オフィス入試の頭文字をとった名称)と呼ばれていましたが、2021年度より「総合型選抜」に名称を変え、内容も変化しています。

2021年度(令和3年度)入試では、国立大で76.8%、公立大で40%、私立大で90.8%の大学が総合型選抜を実施しており、全大学での志願倍率が低下する中でも、総合型選抜での入学者数は増加しています。

図1:2021年度(令和3年度) 国公私立大学入学者選抜 実施状況/文科省 発表データより抜粋

図2:2021年度(令和3年度) 総合型選抜 実施状況/文科省 発表データより抜粋

※文科省の調査結果では、国立・公立・私立の全大学合計で83.1%の大学が総合型選抜を実施。国公私立大学の全てにおいて入学者数割合も前年比(令和2年度 10.4%)で2.3pt 増加しています。

「総合型選抜」の出願条件・選考・スケジュールは?

「総合型選抜」では、選考の際に旧AO入試には無かった“学力が問われる選考”を行う傾向が高まりました。

具体的な選考方法は、

(1)大学独自で行われる試験・課題(小論文や面接、口頭試問、実技、プレゼンテーション、セミナーや模擬講義)、各教科・科目のテスト、資格や検定試験の成績

(2)共通テストの結果

上記(1)(2)のうち、いずれか1つの活用が必須化されています。
また、一部で「全体の学習成績の状況(*評定平均)」も評価する大学もあるため、日頃の学校成績も意識する必要があります。

※大学により活用するものが異なります。志望校のホームページにて詳細をご確認ください。

「全体の学習成績の状況(*評定平均)」とは・・・全科目の成績(5段階)を足し合わせ、科目数で割った数となります。 小数点以下第2位を四捨五入するため、3.7や4.6といった数で表されます。 10段階評価の場合の5段階への直し方は、学校毎に定められた換算基準により異なります。

【出願条件】

「総合型選抜」は高校からの推薦が必要ないため、大学・学部毎が定める条件を満たせば、どなたでも出願が可能です。

※大学ごとに出願条件や選考基準が大きく異なるため、早めに各大学のホームページ等で詳細をご確認ください

【出願方法】

*「調査書」および 出願書類の提出

*調査書とは・・・受験者本人の高校生活での成績「全体の学習成績の状況(*評定平均)」や学習態度、特技や部活動・ボランティア活動、留学などの海外経験や資格・表彰など、様々な取り組みについて記入したものです。

出願書類には、受験生本人が記載する次のような資料の提出を求める大学も増えています。

●「志望理由書」
●「活動報告書」
●「学習計画書」

※ほとんどの大学で書類審査と面接が選抜に含まれており、中でも重視されるのが「志望理由」です。


【出願スケジュール】

他の入試方式に比べて早く実施されることが多く、私立大学では出願前の6月頃からエントリーシートの提出や事前面談、課題提出を求める大学もあります。
また、オープンキャンパスへの参加が出願条件となるケースもあるため、早期から志望大学の情報収集をしておくことが大切です。

■私立大学の場合(例)
・6月〜9月頃:エントリー
・9月〜11月頃:出願、課題提出
・10月〜12月頃:選考期間、合格発表

■国公立大学の場合(例)
・6月〜7月頃 :個別学力検査の実施教科・科目、入試方法の発表
・9月〜11月頃 :出願、課題提出
・11月〜12月頃:選考期間、合格発表

※私立・国公立ともに共通テストを課す大学は、共通テスト後に合格発表となります。
※上記は大まかなスケジュール例です。詳細は大学により異なるため、各大学の募集要項を必ずご確認ください。

大学入学者全体のおよそ4割以上を占める
「学校推薦型選抜 (旧 推薦入試)」

学校推薦型選抜とは?

学校推薦型選抜は、高校での成績や取り組みをもとに、原則として学校長の推薦書に基づいて実施される入試です。2020年度より「推薦入試」から「学校推薦型選抜」へと名称が変わりました。

調査書「全体の学習成績の状況(*評定平均)」や推薦書等の出願書類が重要視されるものの、これらだけでなく、学力検査や小論文、口頭試問、資格・検定試験の成績、大学入学共通テスト等のうち、少なくとも1つを活用することが定められています。

2021年度(令和3年度)入試では、国公私立大 全大学の9割超が学校推薦型選抜を実施しており、入学者数は全体の37.6%と、およそ4割近くが一般入試を受けずに推薦制度を使って入学しています。

図3:2021年度(令和3年度) 学校推薦型選抜 実施状況/文科省 発表データより抜粋

「学校推薦型選抜」の出願条件・選考・スケジュールは?

「学校推薦型選抜」も旧推薦入試と同様に「指定校推薦(指定校制)」と「公募推薦(公募制)」の2種類である点は継続されています。

【出願条件】

・「指定校推薦(指定校制)」は、大学が指定した高校の生徒のみ出願できる(※専願)
・「公募推薦(公募制)」は、大学が定める出願条件を満たせば、どの高校からでも出願できる
※上記どちらの入試方式も専願が基本です。(一部の私立大学で、条件付きで併願を認めるケースもあります。)

上記のいずれも、高校での成績やスポーツ・文化活動などの諸活動、海外留学などの多様な経験や特定の分野における取り組みをもとに、原則として学校長の推薦書が必要です。

また、高校1年〜3年(1学期期末 or 前期期末)までの「全体の学習成績の状況(*評定平均)」や資格・検定を出願条件として指定するケースもあります。

「全体の学習成績の状況(*評定平均)」とは・・・全科目の成績(5段階)を足し合わせ、科目数で割った数となります。 小数点以下第2位を四捨五入するため、3.7や4.6といった数で表されます。 10段階評価の場合の5段階への直し方は、学校毎に定められた換算基準により異なります。
※「公募推薦(公募制)」のうち、スポーツや文化活動で活躍したことをアピールできる公募制特別推薦選抜は高校での成績を審査対象にしない場合もあります。

【出願方法】

・「*調査書」および出願書類の提出
*調査書とは・・・受験者本人の高校生活での「全体の学習成績の状況(*評定平均)」や学習態度、特技や部活動・ボランティア活動、留学などの海外経験や資格・表彰など、様々な取り組みについて記入したものです。


・「推薦書」
推薦書には、文科省が定める新しい学力「知識・技能」のほか、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性の尊重・協同性」に沿った内容が記載されます。

※「調査書」「推薦書」等の出願書類の内容だけでなく、各大学が実施する評価方法(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績)もしくは「大学入学共通テスト」の評価で決定します。

※国公立大学では共通テストを課す大学が多くなっています。

【出願スケジュール】

・6月〜7月頃 :個別学力検査の実施教科・科目、入試方法の発表
・7月〜9月頃 :校内選考(※指定校制)
・9月〜11月頃:推薦する生徒の決定、出願
・11月〜  1月頃:選考、合格発表

※国公立大学など共通テストを課す大学は、共通テスト後の2月下旬に合格発表となります。
※上記は大まかなスケジュール例です。詳細は大学により異なるため、各大学の募集要項を必ずご確認ください。

高2までの早期対策と準備が明暗を分ける!
共通テスト利用方式も視野に入れた入試対策を

「総合型選抜」「学校推薦型選抜」ともに、高2の秋から高3の1学期にかけて、入試に必要な書類などを用意していくこととなります。

また、いずれも「調査書」の提出が求められるため、高1からの学校成績はもちろんのこと、検定試験や各種活動など、入試に向けてやっておきたいことはたくさんあります。

「総合型選抜」「学校推薦型選抜(公募制)(指定校制)」で注意しておきたいポイント

▶︎「総合型選抜」「学校推薦型選抜(公募制)」の両方を実施する大学もある
※出願条件を詳しく確認し、有利な方を選択しましょう。

▶︎「総合型選抜」は専願が基本となるため、万が一に備えて「学校推薦型(公募制)」や「一般選抜」を受験する可能性も想定する(※一部の私立大学で、条件付きの併願を認める大学もあります)
※一般選抜に向けた入試対策は、秋からのスタートでは間に合わない可能性が高いため、一般選抜の準備も同時に進めていけると良いでしょう。

▶︎「学校推薦型選抜(指定校制)」は専願が基本となるため、万が一に備えて「学校推薦型選抜(公募制)」の2次募集や出願時期が12月以降の「総合型選抜」「一般選抜」を受験する可能性も想定する
 
※進学後の学校生活をしっかりと想定し、志望校を選定しておくことが大切です。

「総合型選抜」「学校推薦型選抜」のいずれも、
早期からの準備と、一般選抜対策との両立が重要!

湘南ゼミナール高等部は、「集団指導」「個別指導」の掛け合わせで入試方式に最適な対策を指導!

「集団指導」と「個別指導」
なぜ両方必要なの?!

「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」の面接や出願書類の記載項目に欠かせない、生徒さん一人ひとりの主体性やビジョンを育むには個別指導が最適です。

一方で、自分自身を客観的に見て、大学へ的確にアピールできるアウトプットの力も欠かせません。
集団指導でのグループワークで「インプット」と「アウトプット」を繰り返すことで、対話を通じて自分自身の考えや強みを磨き上げます。

また、ライバルと適切に高め合いながら学ぶ環境は、「調査書」の評定平均に記載される高1〜高3までの学校成績や、一般選抜に向けて学習する姿勢・モチベーションの維持にも大きな影響を与えます。

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