湘ゼミコラム

公立中高一貫校受検

2024年度 神奈川県公立中高一貫校受検で知っておきたい!/県内5校の選考内容・適性検査の対策方法

高い大学進学実績や最先端の授業を公立の費用で受けられることから、人気が集中する公立中高一貫校。

神奈川県内の公立中高一貫校は、附属校と中等教育学校を合わせて全部で5校あります。
学校の種類別に見ていきます。

■ 附属中学校
・横浜市立 横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中(以下、横浜サイエンスフロンティア附属中)
・横浜市立 南高等学校附属中(以下、南附属中)
・川崎市立 川崎高等学校附属中(以下、川崎附属中)

■ 中等教育学校
県立 相模原中等教育学校(以下、相模原中等)
県立 平塚中等教育学校(以下、平塚中等)


附属中は、もともと公立高校があり、そこに附属中学校が併設されたものです。
小学6年生で受検し、入学した後は高校受験は無く、原則全ての生徒が附属高校へと内部進学します。
※横浜サイエンスフロンティア附属中と南附属中は高校から入学する生徒もいます。
※川崎附属中は、2021年度より普通科の高校募集を停止しています。

中等教育学校は、小学6年生の受検で入学した定員160名で高校卒業までの6年間を過ごします。
※前期生(中1ー中3)、後期生(高1ー高3)とされています。

公立中高一貫校に通うメリット

・6年間の一貫教育(高校受験がなく、原則全員 内部進学)
・公立中高一貫校ならではのカリキュラム、授業内容
・大学進学実績に期待がもてる
・キャリア教育の水準の高さ

学校では教科学習だけに留まらず、大学レベルの研究室を利用した探究活動や、グローバル社会に適応できるリーダーを育てることを目指した各種プログラムが用意されています。

社会に出てからも発揮できるであろう、プレゼン力やコミュニケーション能力、これらを日本語・英語の両方で身につけていきます。

注目したい、キャリア教育の水準の高さ

県内の公立中高一貫校では、さまざまなキャリア教育プログラムが実施されています。

キャリアプランニング・進路探究活動において、国際社会でも通用する「使える英語」を前提に、英語+プレゼン力・コミュニケーション能力を磨くための国際交流や合宿など、各校で特色あるプログラムが設けられ、公立中高一貫校ならではの魅力的なカリキュラムが揃っています。

中等教育学校(相模原中等/平塚中等)

国公立大学への進学を目指し、中1〜高3までの6年間で学習するカリキュラムをトータル5年間の先取り教育で進め、残りの1年間は大学受験に向けて勉強しています。

■ 相模原中等
勉強だけでなく、体育祭、文化祭など、生徒達は何事も全力で楽しむといった校風があります。
社会で活躍する様々な方を講師として招いた「職業人講話」や、農業体験や職業体験、民泊など体験型で学ぶ機会も多く、大学進学や進学後のキャリアプランニングにも力を入れています。

■ 平塚中等
1クラス32名と他校に比べて1クラスあたりの人数を抑えていることもあり、面倒見が良く、細やかな指導に定評があります。
国内での合宿や、イングリッシュキャンプ、「かながわ探究」という職場訪問活動、海外研修旅行など6年間を通して多くの実践的な行事が用意されています。

横浜市立の中高一貫校(南附属中/横浜サイエンスフロンティア附属中)

■ 南附属中
文科省スーパーグローバルハイスクールネットワーク参加校として、国際社会で通用するリーダーの育成や語学研修に特に力を入れています。
英語の教科書を聞く・読む・話す・書くなど順を追って計5周学ぶ「英語5ラウンド制」授業の開発校で、国内での英語研修やカナダ姉妹校との国際交流活動も活発に行っています。

■ 横浜サイエンスフロンティア附属中
20もの実験室を備えた、世界で活躍するサイエンティストの育成を目指す学校です。研究テーマを掘り下げ、英語でプレゼンできる実力を身につけていきます。
一人ひとりの生徒が豊かな感性を育めるよう、自由時間が設けられており、自主研究や進路探究、相談・面談など将来のためになる活動を生徒が主体的に進めています。

川崎市立の中高一貫校(川崎附属中)

■ 川崎附属中
1人1台のパソコンが支給され、宿題、勉強、学習計画管理も全てパソコンで行います。
「ICTセミナー」では、先輩生徒が新入生にマンツーマンでついて、アドバイスしながらパソコンを使いこなすための基礎を学ぶ機会も設けられています。
自然での合宿や、農業フィールドワーク、イングリッシュキャンプなど、体験型で学ぶ機会も多く、キャリア教育の一貫として様々な企業・施設を訪問する機会も設けられています。

人気に比例する 高倍率の受検
公立中高一貫校の適性検査で求められる力とは?

神奈川県内の公立中高一貫校5校の受検倍率は、合計平均値で約5倍程度(2022年/令和4年度)と高倍率が続いています。

■ 受検倍率 一覧

各校の倍率は、開校当初(倍率11倍程度)より落ち着きつつあるものの、神奈川県の公立高校入試 平均倍率1.17倍(令和4年度)と比べると相当高いことが見て取れます。

※2022年度(令和4年度)に相模原中等・平塚中等の男女別定員が廃止され、2023年度(令和5年度)には、南附属中、横浜サイエンスフロンティア附属中の男女別定員も廃止されます。

これまで男女半数ずつの定員だったことにより、
・南附属中の女子倍率
・横浜サイエンスフロンティア附属中の男子倍率
は特に高倍率の激戦でしたが、男女別定員が廃止されたことにより、それぞれ優勢となるかというと、模試結果や成績シュミレーション(湘南ゼミナール調べ)からは大きく影響はしないと見られます。

■ 神奈川県 公立中高一貫校5校の受検制度一覧

小学校の成績も選考に含まれる?

南附属中、横浜サイエンスフロンティア附属中の2校は、小学5・6年生の成績が選考資料となります。
「適性検査」と成績評価を含む「調査書」の割合は3:1と調査書の比率が高いため、小学5年生から学校成績を強く意識して学習に取り組むことが大切です。

川崎附属中、相模原中等、平塚中等は、小学6年生の成績のみ選考資料となります。
「適性検査」と成績評価を含む「調査書」の割合は9:1または6:1と比率は低いため、学校成績の影響はさほど考えなくても良いでしょう。
しかし、コロナ等による影響でグループ活動が廃止されるケースでは、「調査書」の比率が高まるケースもあるため、ボーダーラインの際には学校成績がある方が有利になります。

適性検査(入試問題)はどんな内容?

■ 南附属中、横浜サイエンスフロンティア附属中
2校共通:適性検査Ⅰ(文系)
国語は作文で、5,000字程度の文章を300字に要約する要約文や意見文など、学校の授業では扱われることが少ない、トレーニングを要するような作文が出題されます。

学校ごとの独自問題:適性検査Ⅱ(理系)
小学4年生の「面積」「速さ」など、それらだけを求めるような問題は一切出ません。
算数や理科の関連知識を理解している前提で、問題を読み解き、面積・速さなどの作業を積み重ねて道を切り開いていくような思考力が問われる問題が出題されます。

※入学後は、名だたる研究の学術論文をたくさん読み、レポートにまとめる宿題もあるなど、学校側は読解力・思考力のある生徒を求めています。

■ 川崎附属中
適性検査Ⅰ(文系)
適性検査Ⅰの文系が強いお子様が受かりやすいと分析します。特に国語力、記述力です。
読解問題、漢字、熟語、資料問題など、スピードがないと解けない出題が目立ちます。

適性検査Ⅱ(理系)
理系は全国平均に比べ、やや解きやすい出題です。

※2023年度(令和5年度)入試より面接が廃止

■ 相模原中等・平塚中等
適性検査:Ⅰ(文系)Ⅱ(理系)の括りなし
文系と理系の括りがなく、全体の7割程度は理系の出題が見られます。
問題の量・ページ数は少なめですが、確認や読み取り作業に対する細やかな視点がより一層求められます。

私立受験とは求められる力が異なる!適性検査 合格に必要な力とは?

公立中高一貫校の適性検査問題では、基本的に小学校で扱う教科書レベルの知識量しか出題されません。

同じ中学受験でも、私立中学では学校側の「入学をしてもらいたい生徒像」が試験内容に色濃く反映され、小学生の試験といえども、中学校で扱う公式や知識を出題するケースも見られます。

しかし、公立の場合はそういったケースはありません。
小学校の教科書レベルの問題で、「思考」「判断」「表現」が極めて高く求められる入試問題になっています。

公立中高一貫校に合格するお子様は、読解力、スピード、正確性、計算力が2学年上程度のレベルに到達するほどの力をもつことをイメージすると良いでしょう。
そのためには、作文や問題を素早く読み取り、正確に解くことに慣れる対策が必要です。

神奈川 公立中高一貫校5校の国公立大 進学実績

公立中高一貫校人気を後押しする、各校の大学進学実績。
現役卒業生の大学合格率を学校別の一覧表で見ていきます。

■ 2022年度(令和4年度)卒業生/大学合格実績(現役) 一覧

※横浜サイエンスフロンティアは、附属中の入学1期生が2022年度時点で高3生のため、上記は高入生のみの合格実績となります。
※南・川崎は、附属中からの内部進学生の合格実績となります。

相模原中等、平塚中等は国公立大学の現役合格率が4割程度を占めており、県内公立旧学区トップ校の横浜翠嵐や湘南と並ぶ高い合格率です。

公立中高一貫校の「適性検査」対策は、思考・判断・表現といった能力を測る出題で、県内旧学区トップ校受験の「特色検査」、さらに先の「大学入試」にも通ずる学習内容です。

つまり、公立中高一貫校受検の対策は、先につながる勉強としての価値も高いことが魅力といえます。

公立中高一貫校受検対策は、何年生から?

湘南ゼミナールでは、新小学3年生から学年に合わせた適性検査対策を受講いただけます。
※新小3の開講校舎については、別途お問い合わせください。

■ 新小学3年生
週2クラスで「学習サイクルの定着」と「興味を広げる学習」
いわゆる学年相応の科目学習ではなく、適性検査を見据えた「読解力」「論理的思考力」「空間認識能力」「計算・作業力」を高めるカリキュラム。
ゲーム性・パズル性も演出しながら、リズム・学習サイクルを身につけていきます。

■ 新小学4年生
週2クラスで「基礎学力の定着」と「興味を広げる学習」
思考力を要する適性検査問題の土台となる各科目の基礎学力の定着を進め、興味を広げる学習も継続して取り組んでいきます。

■ 新小学5年生
週2クラスまたは週1クラス
適性検査対策に加えて、週2クラスでは受検において重要な算数と国語を授業として入れています。読解力の基本、算数の基本もしっかり学ぶことで、合格率が高まります。

■ 新小学6年生
週2クラスで「習熟度別の選抜クラス」+「志望校別講座」
週1クラスで「志望校別講座」を実施しています。
学校の予習をしながら、志望校に最適化した受検対策を進めていきます。