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大学受験・入試

勉強法とキャンパスライフを現役東大生に徹底取材!「東京大学に決めた理由/Case02:美馬裕一さん」

東京大学を目指し、受験生活を乗り越えた先にはどんな生活が待っているのか…。
東京大学でのリアルな学生生活と受験期の取り組みについて、現役東大生に取材した特集記事の第2弾をお届けします。

今回は、東京大学への強い想いから、大学受験は東京大学1本のみで挑んだという現在は大学2年生の方をご取材しました。

ぜひ、以下よりご覧ください。

第2回コラム/東京大学に決めた理由
昔からの憧れで東大に決めた。

東京大学 教養学部(前期課程)理科Ⅰ類
美馬 裕一さん(19歳)/千葉県立船橋高校卒

東大1本で勝負! 厳しい戦いに敢えて挑んだワケとは?

美馬さんは、千葉県の公立御三家ともいわれる県立船橋高校の卒業生です。多くの大学受験生が複数大学を受験する中、東大1本の受験に挑んだというから驚きです。

そこで美馬さんに東京大学(以下、東大)を目指した経緯と、現在の大学生活について詳しく話を伺いました。

「東大」を意識し始めたのはいつでしたか?

美馬さん

中学時代から勉強は頑張ってきて、高校受験で県立船橋高校に入ることができました。
高校に入ってから、大学について漠然と興味を持った時に「東大って有名で、かっこいいな。」と思ったのが最初です。

それから東大を志望大学と決めたのは、どんなキッカケでしたか?

美馬さん

高1の時に進路集会みたいなものがあり、そこで先生が「まだ目標が決まっていない人は志望大学を東大としておきなさい!」って…。笑
目標が無いならとりあえず上を目指そうということで、紙に書いてそのまま来た感じです。

自分の中で、東大を志望する決め手となったのは何でしたか?

美馬さん

オープンキャンパスです。高1の夏あたりに学校で東大見学をする機会がありました。そこでいいなと思ったので、高2になってから自分だけでもう1度オープンキャンパスに行きました。
2回目に行くときには、予めオープンキャンパス用の講義を調べて興味あるものを見に行ったことで気持ちが固まりました。

東大以外にもオープンキャンパスには行きましたか?

美馬さん

高2の夏休みに友人と一緒に早稲田と慶應を見に行きました。いいところだなとは思いましたが、自分にとっては東大以上の魅力を感じるところはありませんでした。それから、東大のみを受験することに決めました。

多くの高校生が複数大学を受験する中、”東大1本で受験に挑む”ことに抵抗は無かったですか?

美馬さん

最初は、学校の先生や塾の先生からもだいぶ反対にされましたね…。
入試は、ちゃんと準備して臨んだとしても落ちることが十分あり得るようなテストなので、他の大学で場慣れしておく方がいいといったアドバイスもいただきました。

それでも東大1本に絞った理由は2つあります。

1つは、東大しかあまり興味が沸かなかったんです。
“他の大学に受かっても絶対に進学しない”と思っているのに、そもそも受ける気になれないと…。

もう1つは、僕自身あまり余裕が無かったからです。
東大入試オープン(模試)でE判定が出ていたんです…。それでめちゃめちゃ焦って……それから猛勉強して次のオープンでA判定を取ることができました。

この時から、とにかく”時間が足りない”と分かっていたんです。他の大学の過去問を解く時間が惜しいと思うほどでした。

大学2年生となった今、大学生活はどうですか?

美馬さん

今はコロナの影響でオンライン授業となっていますが、オンラインになるとより一層各授業で評価する為のレポートや課題がどんどん入ってくるようになりました。
取る授業数が多くなると、毎週、毎週やらなきゃ!と追われています。
1年目の対面授業の時は一緒に授業を受ける友人達と授業に関して話し合いをしていたので、そういったのができないのは残念ですね。

東大に入って「すごい!」と思った授業は何ですか?

美馬さん

いろいろありますが、1つ挙げるとすれば大学1年の時に受けた「現代経済理論」という授業でしょうか。
週替わりで新しい先生が授業をする為、いろいろな視点で経済の専門的な話を聞くことができました。例えば、政府の経済政策などについて、いろいろな方法を用いて分析します。授業で習ったやり方で好きなテーマを選んで分析するので、僕は「消費税増税の軽減税率の効果」や、「消費税増税前後の駆け込み需要」について取り組みました。
実用的で身近だけど、社会を動かせるような分析を授業の中で出来るというのは面白いなと思いました。

高校時代にイメージしていた東大と実際は違ったと思う点はありますか?

美馬さん

大学に入学する前は、「授業ってどんなだろう?」と結構「楽しみ」の方が強かったのですが…実際入ってみてまず感じたのは、”進度がすごく早い”ということです。
他の大学に通う友人達に聞いても、他大学で半年かけている内容を東大では数週間で終わらせていたりします。
とにかく授業の内容が多く、定期考査も大変で……思った以上に忙しいと感じます。

アルバイトもしながら、多忙な大学生活を送る美馬さん。とある1日のスケジュール例をご紹介します!

※2020年度はコロナの影響により、授業は全てオンライン受講となっています。

大学での授業は週に何コマ取っていますか?

美馬さん

大学2年の前期は少なくなる時期で、10コマ程度です。
1年の頃は週に20コマ程度と、特に必修授業も多いので大変でした…。でも、1年のうちにいろいろな授業を取って、学部・学科選択の際に本当に興味があるものに進めるように、周りの皆が多く取っていました。

大学2年となった今、1日どのくらい勉強していますか?

美馬さん

僕はアルバイトに充てている時間も長いので、1日3~4時間程度でしょうか。アルバイトが無い授業だけの日で6~7時間程度です。
アルバイトしているのもあり、「課題が終わらない!」なんてこともあって、週末の夜に急いでやることもあります…。

幅広いジャンルの授業を取ることで、やりたいことは見えてきましたか?

美馬さん

やっぱり高校生まではなかなか専門的な科目が学べないので、選ぶ学部が本当に自分に合っているか分からないですよね。大学で専門的な授業をとることで結構見えてくるものはあると思います。

東大合格までの道のりと勉強法!

効率的な勉強法にこだわり東大1本の受験に挑んだ美馬さんに、入試までに取り組んだ勉強法やリフレッシュ法などを教えていただきました!

以下、Q&A形式で美馬さんのご回答を掲載いたします。

受験勉強でこだわっていたことは?

効率にこだわりました。

受験を通して学んだのは、勉強量はもちろんのこと、効率の良さが大事だということです。高3の夏には「毎日10時間以上勉強する!」という目標を立てる事が一般的ですが、10時間やるにしても質が悪いと全然定着しません。僕の場合は高3の夏にたくさん勉強して、「どうやったら内容を理解し、使いこなせるようになるか」を考え抜いて、自分にとって効率が良い方法に気付けたことで成果に繋がったと思います。

学習塾には通っていた?

小学生の頃から塾に通い、高校受験では映像授業の河合塾マナビスに通い始めました。

小学生から塾に通えたおかげで勉強の習慣がついたので、通わせてくれた両親には感謝しています。高校から通った河合塾マナビスは、映像授業を何回も見ることができるところがとてもいいと思って入りました。
難しい講座だと理解に時間がかかるので、そこで止まって一度考えて、分からなければ巻き戻してもう一度見てという方法でしっかり理解できるようになりました。

東大受験にあたり、高校生で絶対やっておいた方が良いと思うことは?

高2の夏で、それまでの学習内容を固めることです。

高2の夏のタイミングで、高1からやってきた学習内容を復習し、しっかり固めました。その後先取り学習をしていけるようになったことで、高3の夏までには高3全体の学習内容を終わらせることができるので、夏以降から余裕をもって過去問演習に取り組めます。
高2、高3の夏は特に考えて時間を使うことが大切だと思います。

東大受験者にオススメの勉強法は?

膨大な量を覚える英単語は単語長と赤シートで何周も見ることです。

大学受験では数千もの単語を覚える必要があるとされています。このような膨大な量の単語を書いて覚えようとすると相当な時間が掛かります。僕の場合、英単語は書かず、単語帳と赤シートを利用して圧倒的に速く大量に覚えることができました。

成績向上に役立ったものは?

河合塾マナビスの佐々木忠直先生の物理の講座がすごいです。

物理の佐々木忠直先生の講座で聞いたことがとても印象に残っています。
先生の話で、「物理というのは、何も考えずに問題集を2~3周やったと満足せず、1度解いた後にその問題がどういうものかを理解すること大切である。問題を復習するときに、問題の流れ、パターンをおさえておくと、応用が利くようになる。」ということを教わりました。
物理学の勉強に大きな刺激となった講座です。

モチベーションを保つ秘訣は?

模試の偏差値と全国順位をしっかり把握することです。

模試の偏差値が落ちたら前回までと比べて頑張っていなかったのかな、とか反対に偏差値をキープできていれば頑張れていたんだと自信になります。

受験期でバランスが崩れそうになったのはどんな時?

E判定となった夏の東大オープンの後です。

E判定には焦りを感じて必死で勉強しました。そんな時に僕の場合は河合塾マナビス内にも結構友達が通っていたので、いろいろと元気をもらって…。受験期まで一緒に戦う仲間の存在は大きいなと思います。

受験期におけるご両親のサポートとして嬉しかったことは?

朝早くでも夜遅くでも、食事を作ってくれたことです。

高3の夏は、毎日朝早くから夜遅くまで塾へ行っていたので、そこでのお弁当や時間を問わず食事を作ってくれました。帰ってくるのが遅いうえに朝も早いとなると、母も仕事をしながらの準備はとても大変だったと思うので…感謝しかありません。

反対に、ご両親にされて嫌だったことは?

受験勉強で必死な時に勉強以外のことで怒られたことです。(笑)

受験直前で勉強ばかり、身の回りが参考書だらけで片付けない…そうした様子を見てよく怒られました。今思うとそういうところをきちんと叱ってくれるのはありがたいことだなと感じています。

東大1本の受験、緊張の合格発表は誰と見に行った?

母と妹と見に行きましたが、そこで‥‥。

母と妹と合格発表を見に行こうと、緊張しながら電車で東大へ向かいました。
合格発表は現地の掲示より30分早くインターネットで公開されるのですが…母が電車の中でインターネットを開いて「あ、ある!」って…。とてもほっこりしましたね。(笑)

志望校合格に向けて頑張っている受験生にアドバイス

受験当日は自分を信じること(=自信)が結果に大きな影響をもたらすと思います。
当日自信をもって試験に臨むには、やはり日々の積み重ねが大切です。自分の中で最大限と思う努力をしたからこそ合格できるのだと思います。

以上、取材より。

※この取材は美馬さんのご協力により、オンラインにてインタビューを実施いたしました。東大を目指すお子さまや保護者様の参考情報となれば幸いです。ご協力誠にありがとうございました。※